男子校のお姫様


―――しばらく歩き続けると、ふいに慧が大きな扉の前で歩を止めた。

「ここが理事長室だよ」

なんだろこの学校・・・。無駄にお金かけすぎなんじゃない?

ここまで来るのにも廊下長すぎて時間かかったし。

「・・・なんていうか・・・豪華だね。無駄に」

あたしの言葉に慧が小さく吹き出した。

「笑わないでよ・・・」

「ごめんごめん。それじゃ開けるよ。理事長、入りますよ」

慧は笑いながら謝るとゆっくりドアを開けた。

琉生兄はなんだかさっきからおとなしい。

拗ねてるようにも見えるけど・・・。

理由が分からないあたしは知らないフリをすることにした。


ドアを開けると何かが叫びながら飛びついて来た。

「佳音~~~!」

「きゃっ」

あたしはなんとかバランスをとると“何か”の正体を確かめた。