男子校のお姫様


「それじゃ、俺達はもう行くから。俺達がいない間は父さんと一緒にこの辺を護れ。依頼があれば、俺か父さんから連絡する。それじゃ、元気でな」

そう言い残すと車は去って行った。

依頼とは、あたしの家で代々続いてきた家業のお仕事について。

ざっくり言うと陰陽師。以上。

「佳音?理事長室行かないの?」

「行く」

慧は不思議そうにあたしを見た。

あたしは苦笑いをすると、慧の手を引っ張った。

「連れてって?」

あたしがそういうと、慧は笑って頷いてくれた。

「ほら琉生兄も」

あたしは琉生兄のそばまで行くと腕を引っ張った。

「かわいい妹のためならどんなところでも連れてってやる!」

いきなり叫びだした琉生兄にびっくりしたあたしは、慧の後ろに隠れた。

「琉生うるさい。佳音がビビってるのに気づけ」

慧は琉生兄にそういうと、あたしの腕を引いて歩きだした。

慧がゆっくり歩いてくれてることに気づいたあたしはこっそり微笑んだ。