男子校のお姫様


光君と想いが通じ合いほのぼのとしていると、突然寒気がした。

「っ・・・こんなとこまで・・・」

「佳音ちゃん、どうしたの?」

「奴が・・・来た・・・」

あたしの返事に光君が息をのんだのが分かる。

「こんなところまで来るなんてどんだけ佳音ちゃんに惚れてるんだろ・・・。でも、今はもう佳音ちゃんは僕のものだし、あげるつもりはないもん」

光君はそういうと、抱きしめる腕の強さを強めた。

彼のささいな言動で嬉しくなるあたしは単純なのだろうか・・・。

「光君、あたし行かないといけないから一度離してもらっていい?」

「やだ。佳音ちゃんが危険な目にあうなんて嫌だもん」

「光君お願い。あたしが行かないと皆が危険な目に遭うかもしれないの。大丈夫。あたしは必ず元気なまま帰ってくるから」

あたしはそういうとそっと光君の腕を外す。

「絶対この部屋から出たらダメだよ。・・・必ず戻ってくるから待っててね」

あたしはそう言い残して、部屋を出た。

クラスの皆が泊まる部屋全てを周り、結界を張る。

悪しきもの以外は入れるように張ったから、皆には部屋に逃げてもらおう。

丈夫な結界を張り終えたあたしは廊下を走る。

建物を出たところで、クラスの皆を連れた慧に出くわした。

「こいつら部屋まで連れてくから」

「うん。よろしく。結界は張っといたよ!できれば慧はそこで皆を護ってほしいけど・・・」

「俺は佳音を護る。佳音の結界は丈夫だから大丈夫だろ」

そう言いながら、慧達は旅館の中に入って行った。

それを確認したあたしは再び走り出した。