再び前に倒れこんだあたしは、唇に何かがあたる感触がして、目を開いた。
目の前には光君の顔のドアップ。
ついでに目を閉じてる。
わぁ・・・睫毛長・・・。
じゃなくて、今の状況を理解しないと!
えっと・・・目の前には光君の綺麗な顔のドアップで、唇には温かくて柔らかい感触。
もしかして・・・これって・・・キス・・・?
あたしはそう理解したと同時、勢いよく光君から離れる。
光君は起き上がると、ぺろっと舌を出して微笑んだ。
「佳音ちゃんの唇やわらかいね」
「っ・・・」
なんで?
「もしかしてファーストキスだった?」
あたしは唇を手で覆ったまま頷く。
光君にとってはなんともないことでもあたしにとっては大事なものなのに・・・。
「なんで・・・」
「ん?」
「なんでキスなんてしたの・・・?」
あたしは震える声を絞り出してそう呟く。
涙がたまって歪んだ視界のまま光君を睨む。
「キスしたかったから」
光君はそういうと悲しげに微笑んだ。

