“初恋は実らない”
よくそういう言葉を聞くけど、そんなの悲しい。
今までは“そうなんだ”くらいしか思わなかったけれど初恋を経験した今、そうは思えない。
初恋だからこそ実ってほしい。
どうしてもそう思ってしまうの自分勝手だろうか。
あたしが考え事をしながらぼーっとしていると、突然グイッと髪を引っ張られた。
「きゃっ・・・」
その衝撃であたしの顔は前に倒れる。
おもわずギュっと閉じていた目を開くと、目の前には光君の整った顔が・・・。
あまりの近さに目を見開いて固まったあたし。
「佳音ちゃん、僕以外にこんなことしちゃ嫌だよ」
「こんな、こと?」
「うん、膝枕」
光君はそう言うけれど、誰もあたしなんかに膝枕なんて頼まないと思う。
ましてや、あたしからなんてぜったいありえない。
だって、あたしには・・・好きな人ができたから。
「あとね、僕といるときはぼーっとしないで、僕のことだけ考えてよ」
そういうと、光君は怪しく微笑んだ。
あたしは勢いよく首を縦に振る。
「わ、わかった」
そう答えて、赤面した顔を隠すため光君から距離をとろうとした。
すると、そうはさせないとでもいうように再び光君はあたしの髪を引っ張った。

