「あのさ、俺の好きな人ってさ、お前なんだよね」

一瞬何を言われたのか分からなかった。

あたしはその場で小首を傾げて立ち尽くす。

すると裕篤が1歩、また1歩と近づいてくる。

そして目の前に立った時、あたしは裕篤の腕の中にいた。

あたしは目を大きく見開いて固まる。

「俺・・・佳音が好きなんだ・・・。たぶん佳音が転校してきたときからずっと・・・」

「え、と・・・。ごめん。あたし・・・好きって感情が分からないの・・・。このまま裕篤を受け入れてしまったら、あなたを傷つけることになると思うの。それだけは絶対に嫌」

あたしは自分の言葉でなんとか気持ちを伝えようとする。

「大事だからこそ、中途半端な気持ちじゃ嫌なの。ごめんね。ごめんなさい」

あたしは謝りながらいつの間にか流れていた涙をぬぐう。

「うん。なんとなくわかってたんだ。佳音はきっとまだ気づいていないだけで、これから恋を知ると思うよ」

「?よくわからないけど。でも、あたしを好きになってくれてありがとう。これからも友達として仲良くしてください」

あたしはそう言って微笑んだ。

すると、裕篤もそれにこたえるかのように優しい笑顔を返してくれた。

その後あたし達はリビングに向かった。