男子校のお姫様


「あの子ずるい。どさくさに紛れて佳音ちゃんに告白してた」

応援席に戻ると光君が頬を膨らましていた。

「えっと・・・?」

「光、気持ちは分からなくもないけど今は佳音も混乱してるから・・・」

2人の会話も頭に入らない程、あたしは混乱中。

そんな中でも第2レースはスタート・・・。

「・・・あ、また引いた・・・」

龍の言葉に続いて再び引きずられるようにゴールまで走ったあたし。

またしてもお題は“好きな人”。

あたしは混乱しながらも自己紹介はきちんと聞いて応援席に戻る。

光君達が何か言っていた気もするけど、そんな言葉も耳に入らない状態。

そしてまた引きずられては自己紹介を聞き応援席では皆が何か言って・・・と言う状態が続いた。

そしてやっとのことで終了した借り人競争。

あたしはかなりの疲労感に襲われ脱力している。

皆の必死の声かけ効果でなんとか正気をとりもどしたあたしは気合いをいれなおした。

「今は競技に集中しなきゃ!」

あたしはそう呟くと、グラウンドに目を向けた。