男子校のお姫様


あたしが苦笑していると、1人の男の子が走ってきた。

カッコカワイイ系かな。

すごい勢いでお題は見えないけど・・・おそらくあたしの周りにいる誰かに用があるんだな。

「佳音先輩!一緒に来てください!」

「へ?あたし?」

あたしが困惑した声を出すと、その子はあたしの腕を引いて再び走り出す。

きっとお題は“メイド”とかだったんだね。

≪ゴールしたようですね。お題を係りの者に見せてください≫

走り切ると、男の子は顔を赤くしながらちらりとあたしを見た後、カードを渡す。

「お題は“好きな人”か。よし合格」

≪おっと!なんと大胆な!この勢いで告白とかしたり!?≫

「しませんよ~!」

男の子は冷やかしに恥ずかしそうにそう答えた。

あたしは予想外の出来事に呆然とその場に立ち尽くしている。

「あの、先輩。ありがとうございました。僕は中田って言います。よろしくです」

「えっと・・・瀬戸佳音です・・・」

あたしは困惑した表情のままそう答えると、わけがわからないまま応援席に戻った。