男子校のお姫様


あたし達が生徒用の座席に戻ったころ、1年生の借り人競争が始まった。

≪カードをひいたようです。さて、今年も難題なレースがスタートしましたね~≫

放送係は楽しそうに困惑した表情の1年生を眺めている。

1年生の首に下げられたカードを見ていくと、確かに難題・・・。

だって、なんで男子校の借り人競争で“好きな人”とか出てくるの!?

「“好きな人”って・・・。好きな人居ないときどうするの・・・?」

「今年は好きな人がいない人はいないと思うから大丈夫だとおもう・・・」

え・・・それって・・・

「・・・ホモ・・・?」

「これだから無自覚鈍感娘は・・・」

祥の言葉にあたしは首を傾げる。

「でも、光君とかモテそうだよね」

「男にモテても嬉しくない・・・」

「だよね・・・」

あたしは苦笑しながら他の人のお題も見ていく。

“ナース服の人”“カップル”“ミニスカポリス”・・・。

いるわけないでしょ・・・。

ただでさえ、体育祭は部外者入れないのに・・・。