男子校のお姫様


着替えを終えてドアを開けると、皆の視線が集まったのが分かった。

しばしの沈黙の後、校庭には男たちの雄たけびが響き渡る。

似合わないのは自覚してるからそんな見ないで~!

あたしは心の中でそう呟きながらゴール地点をみる。

ゴールテープがいまだにあるということは、まだ誰もゴールしてないってこと。

皆手間取ってるみたいだし、今なら1位確定!

そう思ったあたしはゴールに向かって走る。

そして1着でゴール!

「やった!皆~!あたし1位だったよ」

あたしはスタート地点にいる皆に笑顔で手を振る。

皆は少しの間固まっていたけれど、すぐに正気に戻ると笑顔を向けてくれた。

「よくやった佳音~!それと、その衣装似合ってる!」

「お世辞はいらない・・・」

あたしはポツリと呟くとにっこりと笑顔を返す。

その笑顔をみた生徒達は赤面したまま動かなくなった。

あたしは自分の笑顔がそんなに奇妙だったのか・・・と落ち込んでいた。

それを見た護衛組は“またか・・・”とため息をついていた。