男が寮に現れてから一カ月が過ぎた。

あれから男はあたし達の前に現れていない。

毎日警戒をしているあたし達。

そんなあたし達も今日ばかりはそっちにばかり気をとられてなどいられない。

今日は学校行事の中でも熱いバトルを繰り広げられる・・・体育祭。

「よっしゃ!頑張っぞ!」

いや・・・気合い入りすぎでしょ・・・。

「賞品がいいんだよ!なんてったて、今回はクラス旅行行けるんだぞ?」

無駄にテンションの高い裕篤とヒロをあたし達は苦笑しながら見つめていた。

「他のクラスもたぶん燃えてるな」

「皆佳音ちゃんにいいとこ見せようとしてるもんね~」

みんながひそひそ話しだしたのを不思議そうに眺めながらあたしははちまきを巻く。

髪縛ってるし、ネクタイ風にしよう・・・。

あたしが皆を放置してはちまきを巻いていると、光君が抱きついてきた。

「佳音ちゃん、僕のもネクタイやって~」

「じゃあ離れて」

あたしはクスクス笑いながらそういうと、光君のはちまきを結んだ。