蓮side
『蓮? 聞いてる?
おーい戻って来てぇ〜』
「あっ? わりぃ ぅん。聞いてるよ」
『もー 本当に?
あのね、いっつも黒髪のストレートで
美人?ってかキレイ?な子がいる』
やっぱり…
防犯カメラだから
見間違えかと思ってたけど
見間違えじゃなかった
莎羅は俺が小5の時に父が連れて来た
容姿は日本人形みたいだ
カワイイというよりキレイの方が
似合うようなやつだ…
昔から『蓮君』と何かと懐かれていた
いや 懐かれているの方が正しい
ハッキリ言うと俺は莎羅が嫌いだ
家族として。そして女としても…
こんなやつに俺と鈴花の関係を
壊されそうにされて
鈴花にイヤな思いさせて…
俺のせいだ…
心配そうに俺を見つめる鈴花
「鈴花」
気付いたら俺は鈴花を抱きしめていた。
鈴花の華奢な体は
俺の胸にスッポリと収まり
俺は折れるんじゃねぇかと思いながら
強く抱きしめた
『れ ん?
どうしたの? 具合悪いの?』
こんないきなり抱きしめても
俺の心配をしてくれる鈴花
「ゴメンな。ゴメンな。鈴花」
俺は いてもたってもいられず謝った
