声なんて出ないでもいい


君のことなら、今みたいに何でも分かるから


声なんて出なくても…足音一つで、俺は分かるから


___ギュッ


俺は百合に抱き付いた


やっぱり諦めるなんて出来ねぇよっ


俺は…今も昔も、百合だけなんだっ……


___ギュッ…


「っ………」


百合が遠慮がちに抱き締め返してくれた


百合の手先から伝わってくる震え


やっぱり…まだ怖ぇよなっ


なのに百合は…こんなん小さい身体で俺を受け入れようとしてくれている


なぜか無償に…泣きたくなった