無理だってわかってた。
叶わないって、わかってたのに……


どうしてこなに涙が出るんだろう。



悲しい涙が出るんだろう。


「小町さん!!」


勢いよく私は振り向く。


「細川君……」


「あ、あのさ……」



「さっきの女の子はどうしたの?仲よさそうだったじゃん!!付き合ってんの?あ、もしかして私にヤキモチやいてどっか行っちゃった??」



言いたくないことまで、出てしまう。


「そうじゃなくて……」


「それなら安心して!私からその子に言っといてあげるから!!」


「小町さん!」


細川君が私を壁に押し付ける。


「いい加減話を聞かないと、怒るよ」


顔が近い。
怒った顔は、凛々しくて……見とれちゃう。


「だって……細川君……彼女が」


「彼女?僕が好きなのは――」





今のは聞き間違いだろうか。







――『小町……沙紀ちゃん、君だよ』




その言葉が何回も頭でリピートされる。





「付き合って、くれますか?」





「はい……」




神様、神様は私を見捨てなかったね。


チョコはもらえなかったけど、でも甘い、甘いキスをもらった。


私の、白くて甘い恋物語――…