それはある夏の暑い日の教室、
文化祭にむけての
準備をしていた時の事だった。

「あっ…!!!」

バサバサバサ....


本棚からたくさんの本が
私の上に落ちてきた。

「痛っ………」

落ちてきた本が当たった痛さと
ビックリしたことで
涙が目に溜まっていく。


教室には誰もいない。

立ち上がろうとしたとき
足に鋭い痛みが走った。

「もおっ……立てないじゃん…」



そのときだった。


「奈々ちゃん、大丈夫??」

上から優しい声で
私を心配する言葉が聞こえた。



「林田君……?」

同じクラスの林田慶大。
顔がとても良くて
性格もとても良いと
学年の王子様だ。


林田くんはしゃがんで
私に目線を合わせた。

「本が落ちてきたのか。
痛かったね……立てる?」



「ヒック...ご…めん…ッ...」

心配された事、安心した事で
思わず溜まっていた
涙が溢れた。


「ごめ………っ…ヒック....」




ぎゅっ………



えっ....私抱き締められてる??


「奈々ちゃん、心配ないよ」

そう言いながらきつく
抱き締めてくれた。


そしてしばらくして
離れて、林田くんは言った。

「立てないんだよね??」



私はオドオド頷いた。

すると抱き上げられた。



ん....?お姫様抱っこ!????


「えっ!???は..林田君!!!!」



林田君はにこりと笑って

「歩けないでしょ??」


なんだかいつもと違う笑顔で
それ以上なにも言えなかった。