桜の花びらが降る中、俺は言う。 「川嶋が好きだ」 「―――…」 「この場所の想い出を、今この瞬間の光景に書き換えろ」 「!」 川嶋の目を見つめる。 川嶋も俺のことを見てる。 この桜の木を見るたびに、本庄じゃなくて、俺のことを思い出させたい。 悲しい気持ちを思い出さないように。 心からの笑顔で、この桜を見ることができるように。 そして、俺のことを好きになれ! 舞い降る桜の花びらと、川嶋の瞳に、そう強く願った。