うまく守衛は眠ってくれたので、俺たちはありがたく中に入ることにした。
硬く閉ざした門に守衛がいたが、それをよほど信用しているのか、庭には誰もいない。
中に入っても、誰かが来る様子はない。
「どういうことだ?」
「さあ…とりあえず、エルヴィス様の部屋まで行ってみようぜ」
俺たちはコクリとうなずいて、先頭をいくイアンに続く。
そして、中心部辺りに来たところで、薄く開いたドアを見つけた。
まず間違いない。
エルヴィスの部屋だ。
俺たちは足音を立てないようにそろそろとその部屋に近寄っていく。
部屋の前に着いたとの時だった──
「コソコソしてないで、さっさと出てきたらどうよな? お前が来てんのはとっくにわかってるんな」



