英国喜劇リトレイス



「そこの者たち! 何をしている。用がないなら帰りなさい!」

突然振ってきた声に顔をあげると、門の見張り台から兵士が顔を出していた。

さすがは反乱のスタート地点。
危険のために準備は万端みたいだな。


その兵士の顔の周りを、薄くピンクがかった煙が漂う。
すると兵士の目がトロン、とし始め、すぐにいびきをかき始めた。

「セルマ」

「眠り薬を風で飛ばしただけ。早く行こう」

「ひとつ言っていいか?」

俺はイアンから離れてズボンについた砂をたたいて払う。

「何?」

「俺らはテロをしにきた訳じゃない!」

「あ」

「忘れんな!!」