「何で…?」 セルマは無表情のまま首を倒す。 そりゃあ、お前は知らないよな。 「ああ、いやな。ディゼルは──」 「うるさいっ! 黙れこの悪徳従者! 主人の秘密を簡単にバラすな!!」 「え、そんな秘密でも─」 「だめだっ!」 俺はイアンの手から離れてこいつの口をふさぎにかかる。 いいじゃん、と抵抗するイアンだが、俺は全然よくないんだ。 だから言わせないっ! しかし──── 「兄王子様のこと、嫌いなんだっけ?」