「なんだよ、どうしたよ?」 イアンは、目の辺りを揉んでため息をついた。 「エルヴィス様は、何もしていない」 「はぁ!?」 本日二度目。 わけわかんねぇ。 上二人どうしたし何なんだあいつら。 「ジュダス様を止めるでもなく、反乱を止めるでもなく、本当に何もしていない」 「何でだよ?」 イアンは、力なく横に首を振る。 そのとき、カラン、と陶器の音がする。 「待って。その人、どこにいるの」 セルマが唐突に聞いた。 エルヴィスの統治しているところは確か……