英国喜劇リトレイス

そんな言葉を送りこまれて、俺たちが出来たのは間抜けに口を開けたこと。

セルマはぽかんとする俺たちを見事に意識から排除する。


「完全に操っているとは考えにくい。おそらく、暗示か意識の誘導か何かだ…と思う」

「……」

「黒幕がお兄さんを使って貴方たちをバラバラにした。そう考えれば……うん。けっこう自然」

な、なるほど…


「だが、なんの為にそんなことを」


イアンが怪しいもんだと半目でセルマを一瞥。


しかし―――


「そんなの私が知る訳がないでしょう」