「許せる訳がない! そんなこと――」

「もういい」

指でそっと俺の唇に触れて、遮るセルマ。
ぼうとした瞳が小さく揺れていた。

「……もういい。無理しないで」

「な、に……?」

押さえられた唇から漏れた声は、ひどく掠れてて。
でもセルマはそのままじっと見つめてくる。

「思ってないことを口にして、自分を傷つけないで」

「!?」

そんなことはない。
俺は本当にアイツを恨んでる。
今すぐ殺してやったっていいんだ。


後悔なんかしない。

多分。