えー、とした顔で俺を見る少し離れたイアン。
渋ってないで早くしろよてめえ!
はいはい、とイアンは矢立に入った矢を長弓につがえる。
音を立てないように、慎重に弓を引き絞って…
ビュン!
小気味いい音を立てて矢は走り、見張りの男の頬を掠めた。
「! 何だ?」
男はすぐに立ち上がり辺りを見回すが、イアンの矢は既に反対側の窓から外へ消えている。
それでも、方向はわかる。
男は矢の入ってきた窓に駆け寄ってくる。が、そこは俺が潜んでる窓だっ!
あわててその場にうずくまる俺。
「…? なんだったんだ?」
男は、目を凝らして外を見る。
…あぶねえ
ぎりぎりでドアの方に移動した俺はその男に見られることはなかった。



