英国喜劇リトレイス

「な、何が! 何なのさ!」

「貴様…防御に徹してほとんど攻撃してきていないな」

ギクリ、とロシュがたじろいだ。

「そんなことないよっ!」

ジュダスの言う通りだ。
俺は外から見てわかった。
斬撃は大体が止められる程度。
光の弾は俺に最初食らわせたやつ以外では、全て僅かに軌道がずれて当たらないようになっていた。

「言われてみればそうですね」

レイモンドまで同意した。
戦い慣れているレイモンドの保証があれば、決まったな。

最初に俺に当てたのは、戦う意志があるフリをする為。

「ヤだ…やめてよ、来てよ! ボクを倒しに向かってきてよ!」

「お前の言葉を借りるならヤダよ、な」

「!!」

俺は、大剣をおろした。

「そんな…ディゼルまでっ! ボクが仇なんでしょ? ねぇ、やんなくていいの?」

ロシュは必死になって呼びかける。
でも、俺にはもうわかってる。

それは──兄貴も同じ。

俺の横を、風が薙いだ。

「この…脳みそお留守野郎がっ!!」

「あだっ!」