英国喜劇リトレイス


俺は前を見て愕然とした。

見えたのは肩の辺りで切られた金髪が靡く背中。

髪の毛の長さが全く違うけど、どこか見覚えがあるそれは――


「カ、レ……ン?」


幸い、小さかった俺の呟きは誰にも届かずに消えた。


後ろ姿の面影が重なった。


周りの彼女を殺せだ処刑しろだと叫ぶ声はスッと、俺の耳から除外されていく。

痛いほどの沈黙の中で、魔女はゆっくりと振り返った。