「――北には“花”を。妖(あやかし)の声にこそ真の美は成る」 エルヴィスが、ロシュを間にレイモンドと反対に降ろされ、またその目の前でピアスが止まる。 「――東からは“雲”を。無明(むみょう)から流れる自由にこそ変化の兆しは訪れる」 う、わっと! 俺の体はレイモンドとエルヴィスから等間隔に、そしてブレスレットが浮く。 そうか、ロシュを中心に言われた方位に移動させられたのか。