英国喜劇リトレイス


斬りかかろうと剣を持ち上げている俺はもう…

――避けられない!

ロシュの手のひらに光が集まって、それが俺に向かって放たれた。

しかし、俺は別の方向から殴られた。

「ぐはっ!」

俺の体は僅かに横に逸れて、脇腹の側を光の矢が走り抜けた。

「って、え? 殴られた?」

「……違う。空気の塊をぶつけた」

声に振り向けば、そこには…

「セルマ!!」

「……久しぶり」

どこを見てるかわからないぼんやりとした目。
異質な存在感。

どっから見ても――

「セルマだ…」

「うん」