英国喜劇リトレイス


音がピタリと止んだ。
固まった全員が見つめる先には、むくりと体を起こしたジュダス。

「なんだ…?」

そのままぐるりと俺を見ると、ニマァと口端を広げた。

――気持ち悪い…何なんだよ!


「スゴいよ…理に抗う力って面白いんだね」

違う、兄貴じゃない。
直感的に思った。

「てめえ誰だ!!」

「わからない?」

「知らねえよ!」

シュッとジュダスの隣に誰かが現れた。


「ボクだよ、ボク」


明るい微笑みで小首を傾げる小柄な奴


「お前……ロシュ!?」


アイルランドまで旅した、あのロシュだった。