英国喜劇リトレイス


「…そんな、悪くないんだから謝るなよ」

「すみません! …あ」

驚いた顔で口に手をやるダイアナ。
その抜けた顔が可笑しくて、思わず声がでた。

「そそ、そんなに笑わない、で下さい!」

「ごめんごめん」

「思ったより元気そうですね、ディゼル」

聞き慣れた声に首を傾けると、レイモンドとセルマ、それから知らない奴がぞろぞろと来るところだった。

「ああ。体は重いけど、他は大丈夫」

「……そうには、見えない」

「え?」

間抜け面で聞き返す。
セルマは珍しく眉を思い切り寄せて、俺は首の右側を指差した。