セルマは手を洗って、傷を消毒し始めた。
滲みる、けど…まあ、そこは我慢我慢
ぼんやりと周りを見渡すと、結構な人数が負傷しているとわかる。
……やっぱり、死んじまった奴もいるんだろうな…
そう考えると気分が一気に沈んだ。
よくよく見れば、笑っている人間は少ない。
その中に、一人服装の違う奴が寝ていた。
誰だ?
そうか、さっき運ばれてた奴……向こうの軍とも服装は違うし、何者だ?
「ディゼル」
「んあ? 何?」
「これ外していい?」
いきなり現実に戻って“これ”が何かと見れば、クローバーを着けたブレスレット。
ちょうどその下に傷がかぶって、消毒が出来ないみたいだ。



