英国喜劇リトレイス


一段落ついたといっても、救護テントの中は人でごちゃごちゃしていた。

緊迫した空気はなく、手当てする人とされる人とでなごやかなムードだ。

「あ、の、お二人は、ここちらです」

ダイアナの案内に従って空いた簡易ベッドに腰掛ける。

「うわ、意外と傷いっぱいだな…」

体を見ると、腕を中心に細かい切り傷が走っていた。

「……他にもあるだろうから、上脱いで」

「え」

思わず身を固くしてセルマを見る。
セルマは眉を寄せて、

「何」

と短く言った。

「いえいえ、何でもない」

大人しく服を脱ぐと、そこには傷はなく、肩からずっと腕に集中していた。