英国喜劇リトレイス

目の前には敵、後ろは森、横には鬼神・レイモンド。

さてと――

「どーしたもんかなってんだよ」

何だか分からないが、楽しくなってきた。

「なんだよ。案外余裕だなディゼル。もっとガチガチかと思ったのに」

「舐めんなよ! 俺だって、出来る!」

俺が意気込むと、イアンはフッと微笑んだ。

「…とはいえ、どうするよ。この状況。俺の弓じゃ接近戦は無理だし……」

俺は途中からイアンの話を聞いていなかった。

俺は既に意識を集中して、力を引き出そうとしていたから。

ゆっくり目を開くと――

来た

――体が軽くなる浮遊感。あの力だ。