英国喜劇リトレイス


その動きは相変わらず鮮やかで無駄がない。

「信じられない…凄い」

横でイアンも首をふった。

剣舞ともいえるそれはもう、神掛かっている。
恐ろしい集中力で相手の気配を読み、正確に攻撃を加えていく。

――でも

「あんなの、長く持つ訳ない。イアン、早く応援を!」

頷くとイアンはすぐさま頭上に向かって、矢を打ち上げた。

これでよし。エルヴィスも、すぐ気付く筈だ。

「いたぞ!!」

それは敵も同じだったみたいだ。

俺はもう少しレイモンドから距離をとった。

お互いの邪魔はしたくないし、今はあいつ見境ないし。