そこで俺はやっと気がついた。 そして同時に、呆れもする。 レイモンドの奴…この包囲網を打ち崩すつもりだ! 「さっきも言いましたが、僕から離れていて下さいね」 倒れた拍子に落とした剣を拾い上げるレイモンドを、俺は信じられない面持ちで見つめた。 「じゃないと……死にますよ」 不敵に微笑んだレイモンドは、スッと両目を閉じた。 身に付ける空気が変わり、俺とイアンはちょっと離れた。 「さぁ、来なさい。雑魚数十人、相手ではありません」