「てめえ!!」
そいつは何も言わず、ただ不気味に笑った。
俺はそいつに斬りかかろうとしたが、ギリギリで踏みとどまる。
「…まずいぞ、ディゼル」
じり、と後退る俺の背中がイアンの背中にぶつかる。
レイモンドは立ち上がり、何処かを睨む。
「全く、あれ特注品だったんですよ。片眼鏡なんてそうそう売ってるものじゃありませんし」
「いやそこなの!?」
「何か?」
純粋に顔に疑問を浮かべるレイモンドに俺は周りを見ろとジェスチャー。
そこで初めて、レイモンドは納得したように言った。
「ああ……完全に囲まれてますね」



