「レイモンド!!」
駆け寄って崩れる体を支える。
視線を上げると先にはほくそ笑んだ弓兵が俺に背中を向けようとしていた。
「待て、この野郎!!」
しかしそれも空しく。
奴が駆け出そうとして、一迅の風、そして奴は躓いたように転んだ。
なんだ?
「ディゼル!! レイモンド様は!?」
「イアン! 大丈夫だ」
駆けつけてくるイアンの手には長弓。
遠くでも力のある矢を放つことが出来る武器。
それを見て俺の頭の中が一致した。
そうか、さっきの風はイアンの技か。
そして転んだ弓兵には背中から真っ直ぐ心臓へ刺さる矢。
起き上がることはない。



