英国喜劇リトレイス

無茶苦茶強い上に手加減はなし。
いくらやっても、傷一つ付けられずによく泣いた。

そんな兄貴が今は最強の剣士の称号を手にし、軍師として率いる。

「笑うしかねぇってんだよ」

俺はまだまだだってのに。

「――っ!!」

次の瞬間、視界に刃がキレこむと同時に、目尻がパッと熱く、何かが舞散る。

「モーションが大きくて隙が出来すぎです!」

ちくしょ、嫌なとこ見られた。
これは文句をつけよう。

一人の能天を柄で落としてから、レイモンドを振り返ってその先に――

「伏せろ、レイ!!」

「はい?――ツッ!!」

振り向いたレイモンドの目元を矢が掠め、モノクルを捉えて飛ばした。