英国喜劇リトレイス



レイモンドの無表情が痛々しく俺には見えて仕方なかった。

手近の兵に伝えると、すぐさま全軍が集まった。


「……よくない事態になりました」

レイモンドがエルヴィスの隣で軍に語りかける。

「しかし、我々の歩みを止める訳にはいきません。
ジュダス兄さんが何をしでかすか分からない今、我が国を守る為に、我々は進んでいるのです。

敵は内部を撹乱させる術をよく知っている!
しかし、僕らの伝統の国はそれで崩れるほどやわではない!

大義の為に、国の為に……行くぞ!!」

「オォッ!!」


レイモンドは剣を、空高く掲げる。
全軍、各々の武器でそれにならい、歓声を上げた。