英国喜劇リトレイス

戦争なんてどうしようもない。


「戦いになるのか」

俺の顔を見てまずイアンが言った。
俺は強ばった表情で頷く。

「イアン、お前弓兵に参加して欲しいって」

「!」

そんなのわかってる。
だから、辛そうな顔すんなよ。

「…わかった」

イアンは頷いた。

イアンの弓の腕はピカ一だ。
一気に照準を決める集中力と、遠くまで見える視力で右に出る奴はいない。

おまけにすばしっこくて身長も低いから、弓兵にはうってつけの人材なのだ。


「死ぬなよ」

イアンは神妙に言った。

「前線のが危険なんだからな! 気を付けろよ! 諦めて、本当の目的を忘れるなよ!」

「お母さんかお前は!」

イアンの頭をひっぱたこうとした時――招集の笛が響いた。

「じゃ、行ってくる!」

「ああ!」