英国喜劇リトレイス

「もちろんあの女性…セルマさんといいましたか、彼女には安全なところにいて貰います。出来ることなら、救護に回って欲しい」

俺は腕を組んで唸った。

もともとセルマには人嫌いなあたりがある。
それに、多分……

「どうしました?」

「あいつ、血とか嫌いそう」

「好きな人は滅多にいませんよ」

「ま、そだな」

いたってそんなの、死神みたいな殺人鬼か変なフェチ持ちくらいなもんだな。

俺は納得して頷いた。
それを確認すると、レイモンドは様子を窺っていた軍隊に向かって叫んだ。

「総員、戦闘配置!!」