その時、ダラッと言う地の太鼓を鳴らして、馬が駆けて来た。

「エルヴィス兄さん! ディゼル! 大変なことになりました!!」

「……チッ。レイ、どうしたな」

不満気に顔を上げるエルヴィスに対して、大した反応も見せずセルマは奴から離れる。

…セルマに脈は無さそうだな。

「おい。何にやけてるんだ?」

イアンは肘で俺を小突く。
はぁ!? と仰け反って、

「んなことねぇよ! 何を言って――」

「何だと!?」

叫ぶ俺の声は、切羽詰まったエルヴィスに消された。