英国喜劇リトレイス


言葉を切って、一人一人の顔をじっと見つめるミド。

少し肌寒い風が、さわさわと草を揺らす。
飛んでくる羽虫が、酷く煩わしい。


『だからこそ、貴方様たちにお願いしたいのです。

どうか、どうかこの時代の波に飲まれないで下さい。
上手く先を読み、風を使い、浮き上がって下さい。

この長く続くブリテンの伝統を守って下さい』


ミドは大きく深く、頭を下げた。

けれど――


『なぁんだ。そんなことか』