英国喜劇リトレイス

落ち着き払って綺麗に座りながらレイモンドは尋ねた。

パニックになりつつある俺は小声で聞き返した。

「あ?」

「手を組むって話」

「ああ。頼む。バラバラじゃどうにもなんねーし」


少し落ち着いてきた。
高く積まれたコンテナの隙間からエルヴィスを覗く。

飛び道具を扱うからか、倉庫の前の開けた場所から動かない。
気付かれずに近付くのは不可能だ。

「そういえば…」

「ん?」

「今日の兄さんは、僕たちを探しに来た以外には、ほとんどあの場所から動きませんね」

「……確かに」

言われて見ればそうだ。
容易に突っ込んで待ち伏せを防いでるのだろうが、これでは膠着状態が続くだけだ。