『あっれー!?海東くんじゃん』


そんな妙にテンションの高い声を掛けられて、その正体がわかってしまった俺は少しだけ振り向きたくないなーとは思っていても。


そうするわけにもいかないので、手に取っていたホワイトデー用の商品を置いて、声の方へ振り返った。


『やっぱり海東くんだ~』


『高杉さん、一人ですか?』


ホワイトデーコーナーにいるのだから聞かなくてもわかるけど、会話を繋げるために聞いてみた。


『まぁね。海東くんも、一人でホワイトデーの選びに来たの?』


『えぇ。高杉さんもですか。』


『そうだよー。まぁでも玲子のは決まったけどね。』


そう言った後、『後は紗羅ちゃんのだよー』なんて聞いてもないことを言われた。


『そうですか』


至って普段通りに返したけど、正直いい気はしない。