チョコがいっぱいある中で私が目を惹かれたのは、フリーズドライされたまるごと一つの苺が更にストロベリーチョコレートでコーティングされた、苺トリュフだった。


慎吾はフルーツの中で苺が一番好きだったし、苺トリュフもラッピングもとっても可愛かったから、すぐに"これがいい"と思えたのだ。


私がそう説明すれば、また嬉しそうに食べてくれた。


「(…当たり)」


想像した通りに、喜んでくれた。


また、いつものように二人で手を繋いで、他愛ない話をして、帰宅した。


『美鈴にも一個やるよ』


ほい、と差し出された苺トリュフを受け取って、慎吾の隣で同じように苺トリュフを食べた。


その間も、手は繋がれたまま。


外は寒いはずなのに、心はポカポカと温かかった。



二人のバレンタインは、ちょっと甘酸っぱい、苺トリュフ。

《チョコレートは何味?苺トリュフ。end》