だからもう一度、ちゃんと伝えようと思った。


美月の手にある箱から指輪だけを抜き取って、美月の左手を持ち上げた。


そして、


『俺と、結婚してください。』


もう一度、プロポーズをした。


それと同時に指輪が美月の左薬指に填まった。


「こんな私で良ければ、お願い、します…」


返事だけは、しっかりと答えてくれた。


いつもは強気で完璧な美月だけど、

俺の前では可愛いただの女の子。


そんな美月に俺は相当惚れている。


『奥さんとして、これからも末長くよろしく。』


「しょ、しょうがないから末長く付き合ってあげる。」



二人のバレンタインは、ちょっと苦くて、ちょっと甘い、ザッハトルテ。

《チョコレートは何味?ザッハトルテ。end》