女の子は嬉しそうに笑ってて

表情が見えない新田君もきっと、あの優しい目で彼女を見つめてて



・・・彼女がいるなんて知らなかった


知ってたらマフラーなんか借りたりしなかった


こんなとこにノコノコ返しに来たりなんかしなかった




・・・・・・会いたいなんて思わなかったのに







「・・・さいあく」


気づいたら頬を伝ってた涙を手の甲で強く拭って


屋上を離れた







階段を駆け下りてる間も涙はどんどん溢れてくる


あたし、何で泣いてんだろ・・・


・・・新田君に彼女がいたから?



まさか

そんなわけない



大丈夫。こんなのすぐに止まる




ちょっと、びっくりしただけ






・・・・・・ただ、それだけなんだから