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「本鈴鳴っただろー。いつまでも喋ってないで席つけー!」


少しして本鈴が鳴り、担任らしき若い男が入ってきたため、美宇は瑠色の左斜め前に座った。

瑠色にずっと抱き着いて「俺は瑠色の横がいいんだ!」と駄々を捏(コ)ねていたた郁真は時雨に引き剥がされ、渋々自分の席に戻っていった。


不良クラスと聞いていたから、クラスメート全員とは一日では会えないと思っていたけど、今いないのは二人だけだった。


──意外と真面目?


そんな瑠色と同じ気持ちだったのが涼だった。


「ねー、せんせー!このクラス、不良の集まりって聞いたけどほぼ出席じゃん?不良じゃないんじゃないの~?」

「先生には敬語を使え。それと、この学校は進学校だからそれなりの大学に進級したい奴、教養ある奴が多いんだ。」

「ふーん、ありがとうございまーす」


……涼のフレンドリーさ、尊敬するよ。


てか先生の話じゃ、今いない二人って教養ないし、進級する気もない奴ってこと?

なんかバカにされてる気が…


空いてる二つの席は、瑠色の前─つまり、美宇の右隣─の席と、郁真の左隣の二つだった。


絶対チャラチャラした奴だ。


そう思っていると、ガラッと勢いよく前のドアが開いた。