「……?」


なにが、と隣に座っていた美宇のほうを向き首を傾げる。


「だって、瑠色が「つぅか~、お前誰?」」

「……っ!?」


美宇のほうを向いていたら背後からとても強い殺気をかんじ、勢い良く振り返る。


そこには瑠色と目が合ってにこにこと可愛らしい笑顔を浮かべた郁真がたっているだけだった。


「……?」


─後ろから凄い殺気がしたと思ったんだけど…気のせい?


じゃあ誰だろう、ときょろきょろしていると

「─…だからぁ、お前誰かって聞いてんだけど。」


低く鼓膜に届いたそれの主は、紛れもなく──郁真だった…。


これにはさすがの瑠色も美宇も驚いてしまい、お互い無言でじっと郁真を見つめる。


「俺さぁ、男に媚びてるみたいな女って嫌いなんだよね~。」


と、口調はゆったりしているものの、先程までとはうって変わって冷たい笑顔を見せる郁真。

…正直、少しビビった。


今までにこんな殺気を放つ人と、外で会うことはあっても、学校で会うことはなかったから、不意討ちのようなものに少しだけ怯む。