「──…瑠色!そろそろ起きろ~!」

部屋の外から紫音の声が聞こえる。

朝食の用意をしながら起こしてくれてるんだと思う。

一日の家事は当番制で、月水木は瑠色が洗濯で紫音が炊事。

火金は逆になって、土日は臨機応変に対応している。


「ん~あと五分…!」

「だーめ!もう七時半になるぞ。」


ん~、と言いながら布団の温もりを惜しみつつ、もぞもぞとベッドから出る。


今日から普通の授業が始まる。

瑠色は指定校推薦を狙ってるから、遅刻、欠席は避けたい。


暫く制服は着なくてもいいから、スポーツメーカーのグレーの大きめスウェットに、ネイビーの同じように大きめトレーナーを着て部屋から出た。



「にぃちゃ……はよ」

眠たい目をごしごし擦りながら、予想通り朝食の用意をしていた紫音に甘えるように背中から抱き着く。


「…どうした?やけに甘えるな。」

兄ちゃん、と言い甘える瑠色に驚きつつも、手を休めることなく手際よくお弁当のおかずを作っている。


「今日から授業……」

「?…あぁ、大丈夫だよ。美宇ちゃんも一緒だろ?」


瑠色の不安を読み取ったらしい紫音は、瑠色をなだめるように優しく話しかけてくる。

「…紫音が一緒だったらよかったのに」


ぎゅうと腕に力を込める。

作り終わり、お弁当におかずを詰めた紫音は振り返った。